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マニュアルのプロが考える方言の魅力とその利点:地域性と文化を反映する言葉選びの重要性

皆さんは普段、方言に触れる機会はありますか?
マニュアルを見ていると、標準語での表記がほとんどですよね。
しかし、方言にはその土地ならではの温かさと独自の魅力があります。地域ごとの言葉遣いやアクセントは、人々の絆を深める役割を果たし、聞く人に親しみやすさを感じさせます。また、方言は地域の文化や歴史を反映しており、その土地の風土や人々の暮らしを感じ取ることができます。方言の持つ温もりは、故郷の風景を思い出させ、心に安らぎを与えてくれます。
でも、一般的なマニュアルには方言って使われてないですよね。
なぜなのか?弊社のマニュアル制作の現場に聞いてみました!
簡単に言うと「取扱説明書は製品の正しい使用方法を伝える重要な文書なので、標準語を使うことで記載内容を標準化し、どんな人が読んでも誤解や混乱を招かないようにする」とのことでした。

方言ってダメなの?

弊社では、動画制作のお仕事もやっています。
その中で、海外向けの販促動画の編集作業のお仕事をしたときの話です。
制作担当者は熱心に翻訳アプリを使い、英語の字幕を作成していきました。
完成した動画を、現地での生活経験が豊富な同僚に見せてみました。
すると、その同僚は首を傾げながら言いました。
「これはどこの地域向けの動画ですか?意味はなんとなくわかるけど、ローカルの人には分かりにくい表現がありますね」
人にモノ、コトを伝える媒体という広い定義の中では、TPOを考えて方言を選択してみてもよいのではないか?
そう思えるエピソードでした。

そもそも、方言ってなんなんだろう?

方言は、ある言語の特定の地域や社会集団で使われる独自の言語形式や言葉の使い方のことを指します。
方言は通常、地理的な要因や歴史的な背景、社会的な属性などによって形成されます。
日本には、様々な方言があります。
諸説ありますが、日本語の方言を地域区画で分類する「方言区画論」によると、方言は16種類あるとされています。

 

参考サイト:日本の方言は何種類ある? 方言って面白い!「方言」「なまり」「◯◯弁」の違いは?

同じ方言を持つ者同士ではスムーズに意思疎通ができたり、 その地域内では短く簡潔に表現できたりと、方言にはたくさんの利点があります。
また、親しみが持ちやすいという点なども大きな利点だと言えます。

食にも方言がある?

食材の呼び方にも、地域ごとの個性が反映されていることを知っていますか?
今回は、その中からいくつかの例をご紹介します。


茄子 東日本では「ナス」、西日本では「ナスビ」と呼ぶ人が多いです。

煮干し 西日本では「いりこ」と呼ばれることが多いです。

鶏肉 中部地方の一部・関西・九州では「かしわ、かしわ肉」と呼びます。


1つの同じ食材なのに、地域によって呼び方が違うなんて面白いですよね。

また、逆に1つの呼び名なのに、地域ごとの個性が反映されているものもあります。
お正月に食べるお雑煮ですが、「お雑煮」と呼び名は1つなのに地域や家庭によって様々なバリエーションがあり、その味や具材は地域の文化や風習を反映しています。
お餅だけ見てみても、西日本は「丸餅」、東日本は「角餅」といった違いがあります。
私は香川出身なのですが、実家のお雑煮は「白みそ」、具材は「大根と人参」、お餅は「丸餅」そして、「あんこ入り」です。
お雑煮にあんこと言うとびっくりされることが多いのですが、香川では割と一般的に食べられていますので、皆さんも機会があれば1度食べてみてください!

 

日本全国の雑煮

 

讃岐弁、分かりますか?

讃岐弁(さぬきべん)は、香川県(旧讃岐国)で使用される日本語の方言のことです。
香川と言えば、うどんですが、うどんを食べ終わった後、こう聞かれるかもしれません。
「おなかおきた?」
讃岐弁で「おなかおきた?」「おなかいっぱいになった?」という意味です。

うどん屋さんで、うどんの汁をこぼしてしまった際には、「汁まけたんな~。これで拭きな。」と台拭きを渡されるかもしれません。
讃岐弁で「まけた」「こぼれた」という意味です。

仕事中に、「今日、仕事がなかなか片付かんでえらいわ!」と言われたらなんと答えますか?
「褒められてる?」と思って「ありがとう」と言ってしまう人もいるのではないでしょうか?
「えらい」は、標準語では「偉い」 という漢字の 「立派である」 という意味で使われますが、讃岐弁で「えらい」「つかれた、しんどい」を意味します。
「ひどく、すごく」と言った意味で使う地域もあるようです。

仕事が終わって帰宅しようとしたら、上司に「いにしなにポストに投函しといてや」と郵便物を渡されたらどうしますか?
「いにしな?」「どこ?」と戸惑ってしまう人もいるのではないでしょうか。
讃岐弁で「いにしな」「帰りがけ」を意味します。

 

方言を知り、背景を知ることでより温かみ=親近感を感じ、深い理解につながる。私達はそう考えます。
皆さんも時には、方言を楽しんでみてください。

分かりやすく伝えることのプロとして

ここまで方言について触れてみましたが、マニュアル作成においても専門用語という言葉があります。
これは、限定された業界の人にしか伝わらないという点において、方言に近しいものと言えるのではないでしょうか?
自動車関連のマニュアルを数多く手掛ける弊社には、整備士資格を所有したスタッフが多数在籍しています。
なぜ、整備会社ではないのに、資格を有したスタッフが?と思われるかと思います。
それは、取扱説明書やショップマニュアルを制作するにあたり、専門知識を有したスタッフが仕様書や図面の読み込みを行い、実機取材を通して使われる環境や独特な用語から構造や作動を理解したうえで、伝わりやすい表現を考えるためです。
業界の特性を理解し、適切な言葉遣いや表現を選択することが重要と考えています。

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