
展示会への出展が決まったものの、準備にあたれるメンバーは限られており、予算も潤沢ではない。そのような「少人数・低予算」という制約の中で、プロジェクトがスタートしました。
ブースを彩るモニター用動画や、ショートセッション用の発表資料など、本来であれば外部への委託や専門的なツールの導入が必要になりそうな作業が次々と発生しました。しかし、今回の体制では内製一択という状況でした。そこで私たちが取り組んだのが、AIを活用したコンテンツの制作です。
本記事では、手探りの状態から動画と資料を形にするまでの実務プロセスと、その過程で起きたリアルな軌道修正の様子をレポートします。
展示会ブースのモニターで流す動画は、来場者の呼び込みと会話のフックとして重要な役割を担います。

制作の第一歩は、キャラクター作りから始まりました。YAMAGATAのコーポレートロゴの「Y」がネギに見えるという社内の何気ない声から発想を得て、「Yネギ君」というキャラクターが誕生しました。
具体的な制作フローは以下の通りです。
Nano Bananaを用いてキャラクターのベースを作成する。
キャラクターシートを作成し、デザインの基準を設定する。
Gemini 3.1 Flash ImageやGPT Image 2を用いて、シーンごとの画像を生成する。
生成した画像を基に、Omuni、Veo 3.1 Lite、Google Vidsといったツールで動画を生成する。
最後にClipchampで全体の編集を行う。
AIへの指示(プロンプト)は、「青空の下、Yネギ君が晴れやかな表情でネギ畑を走るアニメーションを作成して。デザインはキャラクターシート通りに」といった、非常にシンプルなものでした。
スムーズに進むかと思われた動画制作ですが、いくつかの壁に直面しました。当初はAIとAI以外のツールの切り分けができておらず、クイズシーンのカウントダウンで秒数がズレたり、テキストが崩れたりする現象が発生しました。これに対しては、「テキストが多いシーンはPowerPointの方が良い」というアドバイスを受け、無理にAIを使わない判断を下しました。
また、Yネギ君はGeminiベースで誕生したキャラクターだったため、他のAIツールに読み込ませるとビジュアルが崩れてしまうという問題も起きました。これを解決するために、シーン生成から動画生成までをGemini系(Gemini 3.1 Flash Image、Omuniなど)で統一することで、キャラクターのビジュアルを保つことができました。
こうした試行錯誤を経て、構想から完成まで10営業日、2回の修正を経て動画を完成させることができました。
続いて取り組んだのが、スクリーン投影用の発表資料およびブースで配布する資料の制作です。

まずは、ClaudeやGeminiを相手にアイデアを相談し、思考を整理する「壁打ち」を行って構成案を作成しました。当社が提供する、クラウドベースの業務マニュアル総合ソリューション「はたらきかたマニュアル」や業務効率化サービスを軸に据え、企業内に蓄積された暗黙知を見える化するというシナリオで構成を作るよう指示を出しました。構成案が固まった後は、それをベースにGemini Notebookを用いて資料化を進めました。
構成自体はほぼイメージ通りに仕上がりましたが、そこからの調整には手間取りました。不要な部分の削除、イラストの修正、ページ順の入れ替えなどが発生したためです。そこで、内容の修正はGoogleドキュメント上の構成案で行い、デザインの修正はGemini NotebookとPowerPointで行うという明確な役割分担を決めました。
また、Gemini Notebookが気を利かせて不要な情報を追加してしまうことを防ぐため、「ソースデータに記載されていないことを勝手に追加しないこと」と明確に指示を出しました。さらに、テキスト量が多いサービス説明のページでは、Gemini Notebookに任せるとテキストが崩れたり情報が省略されたりしたため、この部分はPowerPointで個別に何度も修正を行いました。
最終的に、9営業日をかけ、最後の2営業日で集中的に修正を重ねて完成に至りました。

動画と資料、異なる成果物を作成する中で、共通して崩れやすかった点がありました。それは、生成を繰り返すうちにフォントの雰囲気やサイズ、さらにはコーポレートカラーが微妙にズレていくという現象です。また、ベースとなる構成案に不足があると、AIが勝手に補完してしまい、結果的に意図しない「AIらしさ」が残ってしまうことにも気づきました。
制作物ごとの向き合い方の違いも浮き彫りになりました。動画制作では「短い生成カットをどう繋いで1本にするか」が鍵となり、資料制作では「情報量と見せ方の調整」が難しい点でした。アイデアの土台は人が考え、そこから先の作業をAIに委ねるというプロセスにおいて、それぞれの特性を理解し、コントロールする必要があります。
しかし、少人数・低予算という制約があっても、AIを内製の武器として適切に活用すればここまで形にできるという、確かな手応えを得ることができました。
今回の展示会準備では、動画で10営業日、資料で9営業日という期間の中で、AIを駆使して内製を完了させることができました。試行錯誤や手作業での修正は発生したものの、限られたリソースでも自前で形にできたことは、今後の業務においても大きな意義を持ちます。
なお、今回の展示会で使用した他のコンテンツでもAIを活用しており、そちらは別記事で紹介しています。本レポートが、皆様の実務におけるAI活用のヒントになれば幸いです。
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